課題研究 Q11 凝縮系の理論
固体中の電子系など量子多体系では、粒子間相互作用により、超伝導相やモット絶縁相など、多様な基底状態が実現可能となります。本課題研究ではこれらの量子凝縮相、およびそれらの間に生じる量子相転移など、量子多体系に固有な物理現象の理論的理解を目標としています。前期ではまず、物性物理の基礎と多粒子系の理論手法の修得を目指したゼミを行います。後期には、超伝導、超流動、光格子やナノ系での量子現象、量子磁性などの題材から各人に具体的な課題を選んでもらい、解析的あるいは計算機を用いた手法で選んだ題材に取り組みます。なお、本課題研究では、3回生段階で量子統計に関する基礎事項を修得していることを前提としています。
2014年度
後期に取り上げたテーマの例
- 冷却原子系の超流動、BCS-BECクロスオーバー
- ベリー位相と量子ホール効果
- 超伝導の基礎理論
- 凝縮系物理学の基本概念
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- 阿部龍蔵『統計力学』東京大学出版会
2013年度
後期に取り上げたテーマの例
- 冷却原子系の超流動、BCS-BECクロスオーバー
- ベリー位相と量子ホール効果
- スピン三重項超伝導
- 臨界現象の基礎
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- 阿部龍蔵『統計力学』東京大学出版会
- Lifshitz-Pitaevskii: Statistical Physics
2012年度
後期に取り上げたテーマの例
- 巨視的トンネル効果、量子散逸系
- 冷却原子、ボーズ・アインシュタイン凝縮など
- He3の超流動現象
- 相転移と臨界現象
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- 阿部龍蔵『統計力学』東京大学出版会
- Lifshitz-Pitaevskii: Statistical Physics
2011年度
後期に取り上げたテーマの例
- トポロジカル絶縁体
- 強相関系におけるトポロジカル相転移
- 量子臨界現象
- 冷却原子系の多体効果と超流動
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- 阿部龍蔵『統計力学』東京大学出版会
2010年度
後期に取り上げたテーマの例
- 繰り込み群と量子臨界現象
- 冷却原子気体
- Pauli常磁性の強い超伝導
- モット転移
- トポロジカル絶縁体
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- 阿部龍蔵『統計力学』東京大学出版会
- G. D. Mahan: Many Particle Physics
2009年度
後期に取り上げたテーマの例
- トポロジカルなBerry位相による異常ホール効果、量子スピンホール効果
- 動的平均場によるモット金属絶縁体転移
- 冷却原子のBEC-BCSクロスオーバー
- 乱れた超伝導
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- 阿部龍蔵『統計力学』東京大学出版会
- Lifshitz-Pitaevskii: Statistical Physics
2008年度
後期に取り上げたテーマの例
- 冷却ボゾン系の超固体状態
- 臨界現象:フラストレート量子スピン系を例として
- 冷却フェルミ原子系の超流動
- 低次元系の相転移:Kosterlitz-Touless転移を中心として
前期に使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善
- J. R. Scrieffer: Theory of Superconductivity
2007年度
後期に取り上げたテーマの例
- ディラック型分散をもつゼロギャップ半導体:グラフェンの物理 参考資料(PDF)
- 冷却原子気体におけるBCS-BEC超流動クロスオーバー
- 一次元量子系の多体効果:正確な取り扱いを中心として
使用した教科書
- 斯波弘行 『固体の電子論』(パリティ物理学コース) 丸善