凝縮系理論グループ 研究紹介
1.凝縮系の理論とは
電子、原子、分子といった量子力学に従うミクロな要素が、 マクロな数だけ集合し、相互作用を及ぼし合うと、個々の要素が持っていた性質とは著しく異なった、 全く新しい物理現象が生じることがあります。 超伝導、超流動、ボーズ・アインシュタイン凝縮、磁性、金属絶縁体等は、そのような典型例です。 凝縮系理論グループは、このようなマクロな数の要素が織りなす多様な物理現象を 量子多体論の観点から理解することを研究目的とします。 これらの多体問題を理解するには、個々の要素を支配する基本法則の知識だけでは不十分で、 要素還元論は通用しません。 その意味で凝縮系物理学は今日でも魅力ある新現象が発見される可能性に満ちていると言えます。 私たちは、これら多体現象の背後に存在する新しい普遍法則を見いだし、 それを記述する理論の構築を目指しています。 研究の手法としては、場の理論のような解析的手法から、 計算機による数値シミュレーションまで幅広いアプローチで取り組んでいます。
2.現在とりあげている主なテーマ
- 量子効果が顕著にあらわれている系である超流動 4Heと3He、そして固体3He
- 高温超伝導発現のメカニズムの理論的研究
- 高温超伝導に関連して、ゆらぎの強い磁場中第2種超伝導体の相図とそれに関わる現象の解明を目的とした理論的研究
- 電子間の相互作用により有効質量が非常に大きくなった準粒子としての「重い電子系」の正常状態と超伝導の研究
- 相関の強い電子系として、金属・絶縁体転移や磁性の理論
- 量子ゆらぎの効果が強い1次元系の臨界現象のベーテ仮説解、共形場理論を用いた研究
- 量子ゆらぎの強い乱れた2次元系での超伝導転移
- 相関の強い異方的超伝導・超流動への乱れの効果
- 光格子フェルミ多体系における量子凝縮相
3.基礎となる科目
量子力学、統計力学、電磁気学、物理数学、流体力学などを総合して用います。
場の理論などの数理的な手法も必要ですが、何よりも物理的把握が大切です。