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日時
6月5日 (木)
場所
京都大学理学部 5号館 413
講演者
佐藤 正寛 氏
(理化学研究所)
タイトル
1次元冷却ボーズガス系における自発回転機構

備考欄 (アブストラクト等)

物理科学において、冷却原子系は現在最も精力的に研究されている分野の1つである。この系では、 粒子数、相互作用の強さ、格子の形、次元性などの系を特徴づける様々な要素の制御が可能であり、 これが伝統的な凝縮系との大きな違いである。このような冷却原子系の中で、我々は2次元的な ポテンシャルにより 1次元方向に閉じ込められたボーズガス系に焦点を当てる。
 これまでの1次元ボーズガスに対する理論研究により、様々な1次元系特有の性質 (朝永 ラッティンジャー液体の振舞、Tonksガスの振舞、など)が解明されつつある。これらの研究の多くは、 2次元トラップポテンシャルによってその2次元面内運動に対するエネルギー準位が離散化され、 ボーズガスが最低準位のみを占有している、という仮定の下でなされている。しかしながら、粒子数や ポテンシャルの強さを変化させれば上位準位も占有されるに違いない。そこで我々は、最低準位 のみならず 上位準位も占有されている状況における低エネルギー物性をランダウ(平均場)理論と場の理論を用いて 解析した。その結果、ボソン間の斥力相互作用と量子揺らぎの効果で、トラップ軸周りを自発的に 回転する基底状態が発生しうることを示した[1]。この自発回転のメカニズムについて解説する つもりである。
[1] A.Tokuno and MS, arXiv:0712.0431.