過去のセミナー
- 日時
- 6月4日 (水)
- 場所
- 京都大学理学部 5号館 413
- 講演者
- 小山 洋太 氏
- (凝縮系理論グループ D2)
- タイトル
- 異なるバンド幅を有する強相関電子系の磁気・軌道秩序状態
- 備考欄 (アブストラクト等)
近年、遷移金属酸化物などの強相関電子系において、軌道自由度に起因した物性に注目が
集まっている。中でも、最近のこの分野におけるホットトピックスの一つとして、
Ca$_{2-x}$Sr $_{x}$RuO$_{4}$ などで期待されている軌道選択型モット転移が挙げられる。
軌道選択型モット転移は、軌道ごとでバンド幅が異なる系において発現することが指摘されており、
バンド幅が異なる系の常磁性状態に関する理論的解析が多数行われてきた。しかしながら、常磁性
以外の状態に関しては、あまり明らかになっていない。特に、軌道自由度を有する系においては、
反強磁性不安定性のみならず、強磁性不安定性も重要になる。また、磁気秩序状態のみならず、
軌道秩序状態も存在する。これら低温における秩序状態が、軌道ごとでバンド幅が異なることに
よって、どのように変化するのかという点は非常に興味深い問題である。
そこで本研究では、強相関電子系を記述する模型として異なるバンド幅を有する
2バンド・ハバード模型を用い、動的平均場理論に連続時間モンテカルロ法を援用した手法による
解析を行った。本セミナーでは、その結果を紹介し、異なるバンド幅を有する強相関電子系の
磁気・軌道的不安定性、及び競合について考察する。